不安定で良いのだ / by Takeshi Matsumoto

昔話やおとぎ話は決まり文句のように安定した幸せを結末に持ってきて、末長く暮らしたとさ、と終わる。

それを聞き続ける子供の心理に植え付けられるものってなんだろうか。

困難を乗り越えた後は永遠に続く幸せに辿り着く。

とか

馬に乗った王子様が現れて結婚してゴール。

とか

敵の大ボスをやっつけたら平和が訪れる。

とか

でも今まで生きてきてわかってきた事は、そんな事は空想の世界だけの事であって、とても非現実的であるという事だった。そしてそれをちゃんと学校で教えてくれないという事。

だからって悲観的になっているのではない。

困難を乗り越えたら喜びと自信が訪れるだろうし、相性ぴったりの相手と結婚すれば楽しい生活になるし、苦手な人がいないと平和だ。でもそれは一過性のもので、永遠に続くもの、絶対的に不動となるものではない。

特に外国でフリーランスなんかをやっていると、生活費を稼ぐのに精一杯、沢山の仕事をこなし、もはやアイデンティティがバラバラになる時もある。自分が一体何なのか分からなくなるときや、埋没して消えてしまいそうにもなる。そんな時は、本当に自分がやりたい事を見つめて自分を整える時間を作ること。そうすれば、ある芯を確認して安堵感がしばし訪れる。

不安定で良いのだ、と考える。

不安定ながらも着実に階段は登っているし、その不安定さとの付き合い方も上手くなってきている。

不安定を認めると、不安定の枠を俯瞰できるし、安定期を大感謝できる。

だったら両腕を思いっきり広げてこの不安定を楽しんでしまえば良いのかもしれない。