メリークリスマス!
イギリス、ロンドンはとても寒いクリスマスの朝を明け、晴れて気持ちの良い1日でした。
トラファルガー広場まで自転車で訪ねに行ったら人もまばらで、イエスキリスト生誕の人形が置かれていました。
馬小屋で生まれたキリストの生誕祭は2020年たった今、まだ祝われていてキリスト教の影響力を強く感じます。クリスマスはおいしいご馳走やお酒、プレゼントや賑やかなテレビ番組などが慣習化されてイギリスにいるとそれをやらない=クリスマスではないと言う感覚がありますが、こう言う時はもっと大切なこと、シンプルなことを振り返るいい機会にしようと、密かに自分は思っています。
考えたことは、アーティストとして生きる、と言うことです。
ダンスアーティストとして今はロンドンで活動させていただいて沢山の思いや考えがあります。
まずは、アーティストの仕事はただ作品を作って世に発表することだけには収まらないと言うことです。もちろん、そう言うアーティストも沢山します。作風が確立されて、顧客ができて、マーケットが作りあげられていく。
そうすると経済的には循環して潤いますし、アーティストとしての成功例として見られます。でもそうなると、新しい挑戦や試みがなかなか難しくなってくる。なぜなら観客や買い手はその人の作品のイメージを期待して、そこにお金を払うからです。いかに自分の泉を枯れないように維持しながら、観客との接点を見つけていくか、課題になります。
次に多様性です。EU離脱が決まって保守的なイギリスに最近はなっていますが、それでも社会はいろんな人種、世界の民族が暮らして成り立っていて、その多様性をいかに考えるか、と言うところに責任感を感じます。日本というアジアの国から来て、違う文化を背負ってきたことを余計に強く西洋の国で生きていると感じます。特にアートやパフォーマンスの世界では、まだまだ白人が牛耳っていて、それ以外の人種は、グローバルマジョリティと言う言い方が最近ではされていますが、発展途上のような感じがします。そこには経済的、社会的、文化的格差の背景があり、まだまだ社会のシステムとして白人が目立つような階段が固定されている感じがします。例えば、それは生まれた家庭の経済が白人は豊かであり、そうすると、いい教育が受けられ、より”良いもの”が生み出される。選ぶ側も白人が占めているため、人によっては意識下のバイアスが全くないとは言えないと思います。そんな中、児童青少年のために作品を作ったり、ダンスを教えたりする中で僕ができることは、自分の文化に誇りを持ち、しっかりと世に出ていくことだと思います。Representationと言う言葉もあるように、どんな人種がどんな仕事について、どう言うロールモデルを作っているのか。日本人として、アジア代表になった気分で、次の世代になる、特にアジア出身の子どもたちにいい影響を与えたい、そう思います。
そして、インクルーシブ、社会包摂と言う点。まだまだ世界は不平等で、社会のシステムやルールによってそこからはみ出されてしまった、もしくはカテゴリーを作られてしまった人たちがいます。障がい者、LGBTQ IA+のグループ、避難民、極貧の人たち、ホームレスの人たちなど。そんな人たちとアートやダンスパフォーマンスを癒しのツールとして、そして声を上げる機会として、ギャラリーや劇場以外でアートを社会のために使っていくこと。アートはその歴史があり、作品としての価値、意味があるけれど、美術館や劇場からも飛び出して、まだまだもっと社会に浸透して不平等と戦える可能性を秘めていると思うし、そんな活動を続けていきたいです。タイの虹の学校でボランティア活動をさせていただいたり、来年から始まる避難民のLGBTQIA+のグループとのダンスのお仕事もその部分に貢献できたらな、と切に思っています。
長くなってしまいました。読んでいただいてありがとうございます。
北半球はこれからまた日が長くなっていきますね。